WebミーティングツールのZoomで、音声が途切れる・遅れる、画面共有が遅い、「インターネット接続が不安定です」になることが多く、原因を調査した。原因は環境によるので一概に言えないが、基本的にネットワークの輻輳を回避して、QoSによる優先制御と帯域制御を適切に実装することで改善が期待できる。
環境を持っておらず検証が難しいため、全体の設計については触れられず、本記事では、Dell OptimizerによりPC発のZoomトラフィックにDSCP 46(EF)が付与され、QoS優先(Voice)対象となることについて記載する。PCに依存するため、各々のPCの同様設定を確認してみてください。
Zoom仕様
Zoomアプリの通信は標準ではDSCPが付与されていない。msiでインストールして管理者が設定することでDHCPマーキングを有効にできるとのこと。
クオリティ オブ サービス(QoS)DSCP マーキングの使用 - Zoom サポート
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/207368756
事前設定での大規模導入: Windows の場合 - Zoom サポート
https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362163
日商エレクトロニクス
ポート要件(TCP/UDP 8801,8802,9090 UDP 3478,3479)の用途を教えてください - Zoom-Support
https://zoom-support.nissho-ele.co.jp/hc/ja/articles/360007434612
Dell Optimizer動作
DellのPCに搭載されているDell Optimizerを無効→有効にして動作を確認する。
検証PC:Latitude 5320
Zoom通信中にDell Optimizer > ネットワークを有効化する。パケットキャプチャの結果はこちら。Zoom通信8801/udpについて、DSCP 46(EF)が付与されるようになっている。(音声/ビデオ/画面共有/制御とも)
無線QoSのWMM-EDCAにおいては、AC_VO (Voice)にはならず、通常トラフィックと同様AC_BE (Best Effort)として分類されている。※PCのワイヤレスアダプタがモニターモード非対応のためキャプチャ取れず...。無線AP側でのキャプチャ結果。
ネットワークのQoS設定
当該機能がない場合は、Zoomの通信要件を元にトラフィックにDSCPマーキングを適用(あるいはtrust)してQoSを適用すればよい。ただし、PC→無線AP部分におけるWMM-EDCAアクセスカテゴリ(AC)は適用されない。
一例として、Cisco Merakiではこのようなベストプラクティスを発行してくれている。※VoIP設定なので、Zoom等のWebミーティングには合わない部分あり。
まとめ - Dell OptimizerによりZoom通信にDSCP46(EF)が付与されてQoS優先対象になる
Dell Optimizerのネットワークを有効にすることで、ZoomアプリのWebミーティング通信がDSCP 46 (EF)・AC Voiceとしてマーキングされ、ネットワーク内でQoS優先対象として扱うことができる。