ZABBIXでMIBによってWindows ServerのDHCPスコープ使用状況を監視する。
大半のエンタープライズLANで使用されているDHCPだが、接続端末が増えてIPアドレスが枯渇して払い出せない、となったら致命的なサービス影響となる。
接続端末を厳密に管理すれば発生しない問題ではあるが、無線LANの使用などもあり、管理には限界がある。
そのため、DHCPスコープの使用状況をモニタリングして、計画的にサブネット拡張をしていきたい。
また、逆に余剰分の回収も可能になる。
DHCP MIB
DHCPのMIB OIDは次の通り定義されている。ここでは広く使用されているWindows ServerのDHCP MIBを記載する。
種類 | MIB OID |
---|---|
dhcpScope | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2 |
scopeTable | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1 |
scopeTableEntry | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1 |
subnetAdd | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.1 |
noAddInUse (Used IPs) | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.2 |
noAddFree (Available IPs) | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.3 |
noPendingOffers | 1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.4 |
これらを組み合わせることで、DHCPスコープの使用状況を可視化できる。
(参考) Free DHCP-MIB SNMP MIB Download - Free MIB Download - Search MIBs - OiDViEW
ZABBIXディスカバリー設定
ZABBIX使用時の重要機能であるディスカバリー。DHCPスコープでも自動でアイテム、グラフを作成することができる。
アイテム設定時はキー、アイテム名に#SNMPVALUE(あるいは#SNMPINDEX)を忘れずに。subnetAddのSNMPVALUE = 他アイテムのSNMPINDXなので、どちらでも可能。これを忘れるとアイテムが重複して取得できない。
ディスカバリー
subnetAdd
1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.1
ZABBIX 3.xではディスカバリーの設定方法が変わり以下のようにOIDを指定する。
discovery[{#SNMPVALUE},1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.1]
アイテム
以下3つを積み上げグラフにするのがオススメ。
noAddInUse (Used IPs)
1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.2.{#SNMPVALUE}
noAddFree (Available IPs)
1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.3.{#SNMPVALUE}
noPendingOffers
1.3.6.1.4.1.311.1.3.2.1.1.4.{#SNMPVALUE}
グラフ作成イメージ
グラフは積み上げで作成するのが見やすいと思う。
noAddInUseを緑、noAddFreeを青、noPendingOffersを赤にするとこのようになる。
noPendingOffersは実際は必要か怪しい部分あり。
不具合情報
WindowsServer2008では、MIBで取得できるDHCP払い出し状況とサーバーマネージャーで見えるのとで差異があることがある。基本的にサーバーマネージャーの数値が最新で実際の使用状況なのだが、SNMP MIBで見ると実際より払い出しが多かったり少なかったり、反映に数時間かかるように見える。MIBの情報が正常に更新されないのだろう。
まとめ
SNMP MIBにより、ZABBIXでDHCPスコープの使用状況を監視・可視化することができる。これによりスコープ拡張を計画的にできる。