無償版のNetFlow CollectorとしてPRTGが現時点で最も有用だという結論を出しているが、有償で高機能なコレクター製品としてCisco Prime InfrastructureをCollector, Analyzerとして使用してみる。
使い勝手や機能に優れるからやはり有償製品を採用するべきか、あるいは、それほど差異がないため無償で十分という判断材料とする。
使い比べてみた結果
結論から言うと、Prime Infrastructureではなく、Cisco Lancope STEALTHWATCH を使用するべきだと実感している。
観点は以下の通り。
- Web画面がキレイで見やすい
- 操作が直感的
- フロー詳細をドリルダウンできる(Javaクライアントがネック...)
- サポートが手厚い
Lancope STEALTHWATCH のインストール・評価手順はこちら
Lancope-STEALTHWATCH評価版ライセンス取得からインストール・使用開始 - designetwork
操作性の面は本質ではないが、運用担当に引き継ぐ場合を考えると、ある程度操作が容易である必要がある。
Cisco Prime InfrastructureをNetFlow Collectorとして使用する
ソフトウェアのダウンロードからコレクターとして使用するまでの手順を紹介する。
ソフトウェアダウンロード
Prime Infraのソフトウェアをダウンロードする。私はVMware環境でOVAを使用した。 こちらでダウンロードできる。 通常製品版をインストールすると60日間100デバイスまでフル機能を使用して評価できる。
Cisco Enterprise Management 3.x/ Prime Infrastructure 3.x 発注およびライセンス ガイド
Cisco MarketPlace からダウンロードする。(要ログイン)
ログイン後、 TOP > Cisco Prime Trial Downloads [All Items] > Cisco Prime Infrastructure 3.0 > Free Download [Add to Cart] Cart > Place Secure Order
本人情報を登録して注文するとダウンロードできる。
ソフトウェアインストール
インストール時にスペックを選択できる。
スペック | vCPU(仮想 CPU) | メモリ(DRAM) | 最小ハード ディスク ドライブ サイズ | ディスク I/O 帯域幅 |
---|---|---|---|---|
Express | 4 | 12 GB | 300 GB | 200 MBps |
Express Plus | 8 | 16 GB | 600 GB | 200 MBps |
Standard | 16 | 16 GB | 900 GB | 200 MBps |
Pro | 16 | 24 GB | 1200 GB | 320 MBps |
Expressでもメモリーが6GB予約されるため、自宅のプアな環境では正直厳しいところはある。実際、私の8GB環境では予約分は満たせても最大の12GBより少ないため、仮想マシン起動時にリソース不足のエラーで起動できなかった。
初期設定
大まかな設定の流れは次の通り。
デバイス登録 > NetFlow出力設定(NW機器側) > ダッシュボードにNetFlowダッシュレット追加
Prime InfrastructureのデフォルトNetFlowポートは9111。NetFlow Export設定手順は次の通り。
Cisco ASA5505でNetFlowExportの設定 - designetwork
Cisco CSR1000VでNetFlowの設定 - designetwork
Cisco Prime InfrastructureのNetFlow機能でできること
ネットワーク全体のトラフィック状況を一元監視できる。キーは次のような項目で確認できる。
- Top NのDestination
- Top NのApplication
- etc.
Cisco Prime InfrastructureのNetFlow機能でできないこと
次のような観点での確認ができない。
- 各機器での個別フローの確認
- フローの詳細確認
これらはPandora FMSを検討した際のマイナスポイントとほぼ一致している。
Pandora FMS NetFlow分析機能の弱点 - designetwork
理由はNetFlowデータ収集にcflowdをしているため?と考えられる。実際の使用は不明だが、コンソールログの中でcflowdの文字を見た気がする。
まとめ
用途によるところが大きいが、私の想定用途ではNetFlow CollectorとしてCisco Prime Infrastructureを使うことはあまりおすすめできない。
私はWANのQoSのクラス設計の材料として、複数の箇所(NW機器)でモニタリングをしたいと考えている。
Cisco製品でのNetFlow分析にはCisco Lancope STEALTHWATCHの使用がおすすめ。 NaaS / NaaE といったセキュリティ重視で設計されているため、フロー詳細を確認できるのがうれしい。